日本経済新聞 夕刊 2010年4月27日(火)
 

下痢を予防
飲むワクチン

東大医科研チーム コメに遺伝子組み込む

常温で長期保存可能

 東京大学医科学研究所の清野宏教授と徳原大介研究員らは、細菌性の下痢を予防できる「遺伝子組み換えコメ」を開発した。常温で長期保存ができ、注射をせずに投与できる可能性が高いという。論文が27日、米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。
 開発したのはコレラ菌と毒素原性大腸菌に対するワクチンが入った米。コレラ菌の毒素を作る遺伝子をイネに組み込み、実験室で栽培して作った。
 粉末にしてネズミに飲ませたところ、コレラ菌や毒素原性大腸菌に感染させても下痢をせずにすむことができた。細菌が出す毒素に対する抗体を腸管の細胞が分泌し、毒素の作用を止めていることを確認した。
 3年間常温で保存しても効果があるという。
 現在、コレラ菌に対する経口ワクチンは実用化されている。ただ、死滅したコレラ菌を使っているため冷蔵庫で保管しなければならない。
 毒素原性大腸菌は旅行者がかかる下痢の原因菌として知られるが、ワクチンはまだない。小児への被害も広がっており世界で年間2億人が感染、40万人が死亡している。