「緑の回廊」に挑む(topへ)
2005年7月30日 熱帯サバンナについて

 立花先生は、これまでプラントハンターとして様々な国々に行っておられます。プラントハンターとして様々な観葉植物を日本に持ち込んでこられました。現在、我々が目にする観葉植物の大半は立花先生が世界の熱帯地方から持ち帰られたものであるとのことなのです。

 そこで、熱帯地方での植物の生育や環境などをお聞きしたいと考え、時間を割いて頂いてお話をして頂きました。

 以下の話は、とりとめもなく、読んでいくのは大変かもしれませんが、ここではできるだけ先生の話をそのまま書いていきたいと思います。


取りまとめたものはこちらをご覧下さい

 まずは、立花先生にボッソウの緑の回廊プロジェクトに関して、概略をお話ししました。

 ボッソウ付近に生息しているチンパンジーが生育している山(バン山)はニンバ山側と森林でつながっており、その森林を通路として往来していたが、開発などによって森林は分断され、チンパンジーはバン山とニンバ山とを往来できなくなり、血縁が濃くなって個体が弱りつつある現状があり、そこで山と山をつなぐ森林帯を作ろうということで「緑の回廊プロジェクト」が始まった・・・


 現在は、チンパンジーの糞に含まれる種子を発芽させて、その苗木を植栽している状態である・・・

 昔、チンパンジーがどんなエサを食べるのか、ということで立花先生を訪問された研究者がおられたとのこと・・・

 チンパンジーは実を食べるだけではなく、薬草類も食べるので、チンパンジーの成育場所として考えるのであれば、薬草類も入れていく必要はあるでしょうね・・・

 チンパンジーのエサとなるような木は、日陰や半日陰で育つものが多く、いきなり開けたところ(太陽が直接当たるような場所)に植えてもだめなことが多いんです。まずは先行樹種(パイオニア樹種)を植えて、日陰を作ることが大切でしょうね。その日陰に目的とする樹木を植えることで成功に近づくのではないでしょうか。
 急ぐと失敗することが多いので、回り道と思っても順序を守ることが成功の秘訣になるんです。

 パイオニアが育てば、チンパンジーがその木陰などに出入りして、糞をしてその中に含まれる種が発芽して、自然と目的の樹種が育つということも十分考えられますよね・・・
 もちろん、そういったことは十分にあり得るでしょう。

 ただ、海外で行われている緑化事業の失敗は技術的な問題はあまりないんですよ・・・(専門家がアドバイザーとして同行することが多く、立花先生も中国などの植林活動に同行され、指導された事もあります)。
 ほとんどが人的問題なんです。家畜の放牧で植栽した幼木が食べられてしまったり、燃料用に切り取られたり、畑のために火をつけられたりするんですよ。
 中国の黄土高原のように砂漠のようになった場所でも、囲いをして入れないようにした場所では1年くらいで3mくらいのブッシュ(低灌木林)はできるんですよ。

 ただ、今回の「緑の回廊」は、大きな面ではなく、線に近い形で植栽を進められるようなので、その点では上手くいく可能性はあるのではないでしょうか。面で森林を作ろうとすると、大面積にわたってどうしても現地の人間を排除する形になりますから、そうなると上手くはいかないですから。

 ただ、パイオニアは植栽するのは難しいんですよ。特に1ヶ月以上乾燥期間があるような場所に育つものは直根(真下にまっすぐ伸びていく根)がすっと伸びてしまって・・・造園でやるように根回しをしないとだめなんですけど・・・タネをまいて生えてきた木を育てるのが一番確実なのですが・・・

 パイオニア樹種のタネは発芽処理をしないと行けないものが多いので・・・発芽処理を適切に行わないと発芽しないものが多くなりますからね。

 発芽処理としては硫酸処理や熱湯処理があります。場合によっては低温処理をする必要があるものもあります。熱帯に育つものでも、おかしなもので低温処理が必要なものがあるんですよ。

 乾果は硫酸処理が必要なものが多いです。それに対して、液果(漿果)は低温処理がゆこうなものがあります。ただ、この液果はタネの寿命が短いものが多いですね。

 土のpHや水のpHも把握しておく必要があるでしょうね。現地の植物を使用する場合はそれほど気にすることもないでしょうが、他から持ち込む場合は気にしておいた方がいいでしょう。土や水のpHが異なると、発芽しない、根が伸びないなど傷害もありますからね。

 それと、乾季に植栽するのであれば、水やりは絶対に必要ですね。できるだけ雨季が始まるような時期に植栽して、水やりの期間を短くしていくといいでしょう。

 ヘキサチューブをかぶせると、苗木を乾燥から守るという事ができると思うのですが・・・
 もしかすると、苗木にとっての乾季を前後1ヶ月くらいは短くすることはできるかもしれませんね。

 現地の写真を見せて頂いた限り、ぽつぽつと木が残っているところがありますね。これは、木が育ちやすい条件があるところにだけ木が残った、自然に侵入してきたという可能性が高いと思われますから、このような場所と同じような条件がある場所に木を植えるということが大切でしょう。

 草原の草は焼き払ったり、伐った後に持ち去ると地力がどんどん減退するだけなので、伐った後はその場に残しておく必要があるでしょうね。植栽した木の根の元にマルチの代わりに敷きつめるといったことも乾燥を防ぎ、地力の減退を防ぐという意味で有効な手法だと思われます。
 パイオニアは発芽に光が必要な場合もあるので、種をまくときににも草刈りは必要です。もちろん成長にも光は必要なので、草丈よりも樹高が高くなるまでは草刈りをした方がいいでしょう。
 

 現地の植物の種類などが分かれば、明確な方法が提示できると思いますが、情報が少し少ないので、まずは現地のパイオニア樹種を限定し、それを育てることを考えることが先決でしょうね。
 林縁部や開けた場所に生えている樹木はパイオニア樹種である可能性が高いので、そのような樹木に焦点を当てて育てる、ということをされてはいかがでしょうか・・・